人々が我が国のDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性とその遅れを強く意識するきっかけとなったのは、コロナ禍を契機とするテレワークの実践と特別定額給付金の給付に係る手続きではないでしょうか。
実際、新型コロナウイルスが蔓延する以前の働き方は、柔軟化・多様化があまり進んでいませんでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、業務やサービスの形態を「新しい生活様式」に対応させる必要が生じ、テレワークの必要性が急速に高まりました。また、テレワークの実践に当たって、紙の書類・伝票類を取り扱う業務(押印、決裁、発送、受領等)や対面での業務(対面での説明、会議等)は、テレワークの阻害要因となったため、業務のデジタル化が十分に進んでいなかったことや、これまで対面・リアルで行っていた業務が、オンラインでも実施できることが実感されました。このように、テレワークの実践によって、DXの遅れが認識され、これまで根強く存在していた紙・印鑑や対面による業務実施方法をデジタル技術の活用により見直す必要性も認識されました(参照:国土交通白書2021「第4節 デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れと成長の停滞」)。
しかし、このように多くの人がDXの必要性を再認識されたものの、中小企業の経営者は、どのようにDXを図っていくべきなのか悩んでいる経営者が多いのが現状です。
その理由の一つが、DXを実施した場合の効果が想像できないという点ではないでしょうか?
DXの手段や、その効果の定量的な分析方法はさまざまありますが、分かりやすい方法の一つとして業務効率改善などにより生産性が向上した場合を以下のような簡略な図で表すことができますので、まず、DXを行うことで経費が削減され、”売上”に変動がなければ、”純利益がアップ”するという状況がイメージできるかどうか、自社に当てはめてみてはいかがでしょうか。